中国鉄鉱石市場2015年第一四半期概観
オーストラリアが最大の埋蔵量を維持
アメリカ合衆国地質調査所に拠れば、世界全体の鉄量の埋蔵量は81,000百万トンで170,000百万トンの鉄鉱石に含まれています。オーストラリアとブラジルが世界最大の鉄鉱石保有国でその埋蔵量も世界最大です。2013年時点で、オーストラリアは17,000百万トンの鉄の埋蔵量が有り、鉄含有量で35,000百万トンです。一方、ブラジルは16,000百万トンの鉄の埋蔵量が有り、鉄量換算では31,000百万トンを保有しています。
鉄含有量順の鉄鉱石埋蔵量世界トップ5(単位:百万トン)
国名 |
鉄鉱石埋蔵量 |
鉄含有量 |
オーストラリア |
35,000 |
17,000 |
ブラジル |
31,000 |
16,000 |
ロシア |
25,000 |
14,000 |
中国 |
23,000 |
7,200 |
インド |
8,100 |
5,200 |
世界総量(概算) |
170,000 |
81,000 |
出典:Mineral Commodity Summaries 2014 (アメリカ合衆国地質調査所)
中国は最大の輸入国
2013年の全世界の鉄鉱石の産出量は2,950百万トンで、前年比微量ながら0.03%の増産を見ました。中国は鉄鉱石の主要な産出国で、2013年には1,320百万トンの鉄鉱石を産出し、同年の世界産出量の44.7%に及びます。オーストラリアとブラジルの同年産出量はそれぞれ530百万トンよ398百万トンでした。
鉄鉱石産出量世界トップ5(単位:百万トン)
国名 |
2012 |
2013(推定) |
中国 |
1,310 |
1,320 |
オーストラリア |
521 |
530 |
ブラジル |
398 |
398 |
インド |
144 |
150 |
ロシア |
105 |
102 |
世界総量(概算) |
2,930 |
2,950 |
出典:Mineral Commodity Summaries 2014 (アメリカ合衆国地質調査所)
2005年1月から2014年11月にかけて中国の鉄鉱石輸入価格は、鉄鋼の産出量増大に拠り鉄鉱石需要も増し、トン当たり28.10米ドルから73.10米ドルに上昇しました。中国は現在世界最大の鉄鉱石の消費国で全世界の鉄鉱石生産量おおよそ半分を消費しています。2004年から2013年にかけ中国は鉄鋼の生産量で、世界全体の成長率をはるかに超える年平均成長率13%を記録しました。2014年には鉄含有量62%の鉄鋼換算で810百万トン清算し、1,300百万トン消費しました。
中国は鉄鋼の主要な産出国であるにも拘わらず、世界最大の鉄鉱石の輸入国で海上輸送に拠る輸出の3分の2を買い付けています。中国の鉄鉱石は鉄の概して含有量が少なく(おおよそ17~20%)他の主要な産出国(基準の62%)に比べ少ないのが実情です。中国の鉄鉱石埋蔵量は鉄量にして7,200百万トンで全世界の埋蔵量の8.9%です。2013年には中国で1,320百万トンの鉄鉱石を産出しましたが62%含有の鉄鉱石に換算すると325百万トン相当でしかありません。結果として中国は大量の需要を満たす鉄鉱石を輸入する必要があるのです。
供給過多と需要の縮小で2014年には価格が下方に
Rio Tinto (Rio), BHP Billiton (BHP), Fortescue Metal Group (FMG) and Brazil’s Vale S.A. (Vale)が主要な中国への鉄鉱石輸入業者です。Rio,BHP及びFMGはオーストラリアの会社であり自国で鉄鉱石を採掘しています。それに拠りオーストラリアが世界最大の鉄鉱石輸出国になっています。2014年には一部の鉄鉱石生産会社が生産を増大させたため、鉄鉱石の供給過多になり価格の下落を招きました。天津港の鉄鉱石輸出価格は2014年11月にはここ5年来最低のトン当たり73.10米ドルまで落ちました。
中国は2014年に鉄鉱石輸入量は、前年比14.7%増大しましたが、11月始めに1998年最終四半期以来の鉄鉱石輸入量の減少を記録しました。2015年の中国の鉄鉱石輸入量は前年比6.4%落ちると予測されています。輸入量の増加は高い国内鉄鋼の生産及び需要によって引き起こされます。不動産及びインフラ整備、機械製造、天然ガスパイプライン建設と造船が、鉄鋼需要のドライバーとなっています。鉄鉱石の価格は2015年内は1トン当たり70から80米ドルで範囲にとどまるであろうと中国鉄鋼協会の副事務総長は予測しています。